powerspot.hatenadiary

日本の電力事業をより良くする/電力事業によって日本をより良くする ために考えたこと

春闘で会社に主張したい話〜割引率から考える現場組織のマネジメントと若年層への賃上げの必要性〜

筆者が勤める会社ではここ数年ベースアップが実現していません。まぁ電力業界の現況(自由化に伴う競争環境の変化、原子力関連の事業環境の厳しさ、低炭素社会への圧力の高まりなど)を考慮すればそりゃそうだ〜という話なのですが、そんな現状が特に若年層が多く働く現場組織の運営に対して、及ぼしうる影響について考察してみたので記載しておきたいと思います。

 

まず、昨年度までの春闘における会社の見解は「長期的な収益見通しを明確に持つことが難しい状況であるため、ベースアップには応じられない」といったものです。(どの会社でもベースアップを拒否するなら同じような文言が出るのではないかと思います)

 

ここで、上記のような状況は、会計用語でいうところの「割引率が上がっている」状況と言えるのではないかと思います。

割引現在価値 - Wikipedia

割引率を考慮すると、若年層になればなるほど年功序列賃金の現在価値(会社との雇用契約の現在価値)は減少します。

換言すれば、「今の上司は良いお給料を貰っているが、自分は将来そうならないのでは?というリスクが増している」という状況であると言えます。

 

ところで、上述の内容は、特に若年層が働く最前線の現場のマネジメントに大きな障害となりうるのではないかと筆者は考えています。

 

既に年功序列賃金のほとんどを受け取り済みである管理職層は会社に対する一定の恩義を感じている(会社との雇用契約の現在価値を高く見積もっている)と思われます。

それに対し、同じ賃金体系であるはずの若年層(筆者も)は、上述の通り、「会社との雇用契約の現在価値をかなり低く見積もっている」、すなわち会社に対して恩義を感じていないと考えられます。

 

人間誰しも「給料分の仕事はやろう」という、「責任感による仕事へのモチベーション」を持っているし、同僚・部下にもある程度期待しているものだと思います。ここで、「会社との雇用契約の現在価値の認識に関して、管理職層と若年層との間にギャップがある」という事実は、その期待が裏切られる結果につながります。

すなわち、「若い人たちがあまり頑張ってくれない」と管理職の人が感じたとき、上記の背景を理解していないと若年層の考えが分からず、「最近の若いモンは」と言うしかなくなる(若年層を頑張らせるための打ち手が思いつかない)というリスクがあるのではないかと筆者は考えます。

 

…というわけで、今回の春闘にあたり、組合に向けて上のような意見(と、具体的な要求として若年層への手厚い賃上げなど)を出してみたいと思います。

お給料、上がると良いなぁ…。

 

(尚、この話に関する根本的な対応策は、同一労働同一賃金年功序列賃金の撤廃)や、一社ではどうにもなりませんが雇用の流動性向上(解雇規制の撤廃)であるような気がするのですが、そこまで会社に主張する勇気はなかった…)

 

【追記】

半年ほど前に、副社長へ上記の主張を踏まえ、「ベースアップしたください!」と言ってみたことがあります。その時の回答は、

 

・ベースアップする為には、株主が納得出来るように、同時に配当金を上げる方策を考えている

・そのためには、利益を上げる必要がある

⚫︎会社の利益上昇がベースアップに繋がって行くので、知恵を出しながら貢献して欲しい!

 

といったものでした。至極真っ当な回答だなと思いました(笑)。もちろん、具体的にどの程度の利益が必要で、それをどう稼ぐか詰めていく必要はありますが

最近個人的に思うのは、労働組合春闘のやり方は要求一辺倒な感があって、もう少し、「より高い労働生産性で会社の利益(ベースアップの原資)を稼ぐにはどうするか?」について主体的に考えていった方が良いのかなぁと…あまり会社に迎合するのも良くないので簡単ではないですが。