マーケティングの4Pと電力
社会人になってから少し意識が高く(?) なってMBAの勉強本を読んだりするようになりました。
きっと学校などに通って本格的に学ばないと実務には生かされないんだろうとは思いますが、本に載っているフレームワークを見るだけでも、思考や情報を整理するのに便利で役に立っているなぁと感じます。
その中で、筆者が特に気になったフレームワークの1つが「マーケティングの4P」でした。
「マーケティングの4P」とは、売れやすい商品とその売り方について整理したもので、
①Product(商品)
→どのような機能の商品を売るか
②Price(価格)
→いくらで売るか
③Promotion(プロモーション)
→どのように認知度を上げ、商品の魅力を伝えるか
④Place(流通)
→どのような方法で、顧客が商品を買えるようにするか
以上の4項目です。
このフレームワークはMBAの本でもかなり序盤に出てくる基本的なものですが、なぜ筆者が特に気になったかというと、
『小売自由化した後の電力会社は4Pの中で差別化できる項目が非常に限定される』
と考えられるからです。すなわち、
①Product(商品)
→電力系統は繋がっているので、どこから買っても「完全に同じ」
②Price(価格)
→差別化できる
③Promotion(プロモーション)
→差別化できる(とは言え、商品が全く同じであることは留意する必要あり)
④Place(流通)
→電力系統は繋がっているので、基本的にどこから買っても同じ
ということです。
逆に、電力小売において差別化出来ると考えられる項目から考えると、
・発電方法
→発電方法を変えてもコンセントから届いてくる電気は変わらないため、Product(商品)の差別化にはなりません。しかし、発電方法によって原価構造(原価そのもの、固定費と流動費の割合)が異なるため、Price(価格)の差別化要素にはなります。また、『環境に優しい』を謳ってPromotionの差別化も可能でしょう。
・セット販売
→セットで販売したところで商品そのものに相乗効果が発生する(電気そのものの品質が良くなる)ことはないので、これもProductの差別化にはならないといえます。セットにすることでトータルの料金を割安に出来るならPriceの差別化に、支払いや申し込み等の手続きがまとめて出来るという利便性を推すならばPlace(流通)の差別化が出来るといえると思います。
・ブランド
→筆者にとっては切ない話ですが、例えば『福島県をめちゃくちゃにした東京電力からは電気を買いたくない!』という方がいれば、それはそれで仕方のないことではないかと思います。そういう意味で、企業のイメージ(ブランド)によって電気の購入先を決めるということもあり得るでしょう。Productの差別化が出来ないだけに、こうしたPromotionの差別化は無視できない要素だと考えられます。
だいたいパッと思い付くのは以上のような内容だと思います。
色々書きましたが、正直言って電力の販売は、『身を削って安売りする』以外の戦い方を探すのが難しい商材だと言わざるを得ません。
当然、上に述べた分析は完全な正解ではないです。
むしろ上に出ていない(素人では簡単に思いつかない)差別化要素が見つかれば、それは模倣のしにくい(競争力の高い)差別化になるといえます。
以上より、電力業界ではこの4Pの分析(差別化要素の模索)は『常に』行っていく必要があります。
そうしないと、Price(価格)だけの競争を強いられることになり、それでは仮に競争に勝ったとしても十分な利益が得られないおそれがあるからです。
…となると、企業のブランド力というのは利益が得られる形で競争に勝っていくためには非常に重要なことなのではないかと筆者は考えています。
この時、他社の失点に期待する以外の方向性としては、「この会社の電気を買い支えれば、地元のインフラをより良くしてくれそうだ」と思っていただくことなのではないかと筆者は考えます。
すなわち
インフラ事業は文明を興すためにある - powerspot.hatenadiary